キング・クリムゾンの2018年 Uncertain Times ツアーの最終日、そして1ヶ月近く続いた日本公演の最終日、12月21日の名古屋公演@センチュリー・ホールへ行ってきました。
前回の2015年の名古屋公演と同じ場所、そして日付も12月21日金曜日と同じ日でした。
まずロイヤルパッケージに参加したのですが、その話はまた明日。
6回もあった東京公演や、2日連続の大阪公演ではいろいろ意表をつく曲が演奏されたようですが、地方公演である名古屋は定番のセットになると予想していました。Twitter で eclipse1228 さんがまとめておられますけれど、宮殿、レッド、メルトダウンの3スイートを軸に、ニューロティカやディシプリンなど80年代の曲、そしてエピタフとイージー・マネーを演奏するのが定番です。日本ツアーの前のヨーロッパツアーではリザード・スイートが毎日演奏されていたようですが、日本で人気の高いレッドの曲を演奏すると予想していました。
開演前にロバート・フリップのアナウンスが流れますが、2015年とは異なるものです、とはいえ、ライブ・イン・メキシコでおなじみです。
メンバーが登場して拍手が静まったら、ドラム3人で The Hell Hounds of Krim からスタートです。次は、トニー・レヴィンがスティックを持ったのでそうかなと予想した Neurotica です。曲を聴いて思ったのですが、80年代クリムゾンのこの曲は2016年ごろにパート1と並んでオープニングの定番だった Pictures of a City の新しいバージョンと言えそうですね。
3曲めは Circus でアルバム「リザード」のオープニング曲です。このまま日本では演奏の少ないリザード・スイートになるのかと思いきや、次の曲は One More Red Nightmare、2104年の最初からよく演奏されている曲ではありますけれど、ハードさが増した演奏だと思いました。その印象を強めているのは、ギャビン・ハリスンが手数多くシャープに叩くドラムと、3人ドラムの強力さが一因かもしれません。その次は Red、ヨーロッパツアーの途中からアレンジが変わって、ドラムが3人で揃って叩くのはやめましたけれど、よりレッドらしい演奏になった気がします。
70年代クリムゾンのハードな曲の後は、Cadence and Cascade です。ジャッコはどの時代の曲も歌えて素晴らしいです。
トニー・レヴィンがスティックに持ち替えて、次は Discipline と Indiscipline です。この2曲は80年代クリムゾンを象徴する曲ですよね。Indisciplineのイントロはベースがビートを刻む間にドラムソロが入る構成だったと思うのですが、最初からベースだけでなくロバート・フリップのギターがビートを刻んで、その分緊迫感が増した曲になってずいぶんハードな印象になりました。
それから、Moonchild、カデンツァを挟んで The Court of the Crimson King の宮殿スイートです。ビル・リーフリンのキーボードやパット・マステロットのパーカッションによって、忠実度が増した演奏でした。
第1部の最後はジェレミー・ステイシーのピアノで始まる Islands、美しく終わりました。
休憩の後の第2部は Devil Dogs Of Tessellation Row からスタートです。前半にキーになる曲を多数演奏したので、後半はどうするのかと思っていたら、ここでリザード・スイートの演奏。ライブ盤の「Meltdown in Mexico 2017」の演奏も良かったので、ライブで観られて感激です。でも、やっぱりなじみが薄い曲なのか、客席の反応はやや低めだったかな。
その次は Epitaph です。宮殿でもそうでしたけれど、ロバート・フリップがメロトロンのサウンドを奏でていました。キーボードを弾く姿は70年代以来ですよね。エピタフのサックスのソロの後でメル・コリンズがアピールしていましたよ。その次の Easy Money は、中間部のアレンジが全然別物に進化していてすごいです。最近は姿を消していたインプロヴィゼーションなのかと思いましたよ。セイラーズ・テイルの中間部のかき鳴らすギターもここに登場していました。それであの曲が最近のレパートリーから外れたのかと納得。曲の最後は、ロバート・フリップの長音のギターサウンドで終わりました。
ここでちょっと気になったのが、ギターソロの中で澄んだ音で奏でる部分の音量がかなり低かったことです。特に修正する様子は見えなかったので、あれが正しいバランスだったのでしょうか。それとも、ヘッドホンのモニターとPAのサウンドとはバランスが違っていたのかな。
その次はメルトダウン・スイートです。ラディカル・アクションのイントロに続いて演奏された部分は、アレンジが全く変わっていて別の曲のようでした。これが、ヨーロッパツアーのセットリストに現れていたラディカル・アクション3なのでしょうか。それとも、1が進化したのかな。ヌーヴォ・メタルよりも進んだ、全く新しいサウンドのように聞こえました。また、この中でも例のかき鳴らすギターも登場していました。最もスリリングに感じた曲だったかもしれません。最後のパート5まで、メルトダウン・スイートをフル演奏で聴けたのもとても嬉しかったです。
これが第2部のシメかと思いきや、その次は Starless です。前半部分のドラムはパット・マステロットが叩くスタイルに変わったのですね。
そして、なんとアンコールに 21st Century Schizoid Man、中間部が新しいアレンジでギャビン・ハリソンのドラムソロも入ります。ドラムソロの中で、The Hell Hounds of Krim フレーズを倍速くらいで叩き始めると、ジェレミー・ステイシーとパット・マステロットもあわせて叩くところもすごかったです。
ここまで多数の曲を演奏してくれたので、終演は10時1分。3時間のライブでしたが、2018年ツアーの総集編のようなセットだったかもしれません。ライブ盤が出るか、DGM Live! で配信されますように。日本公演ボックスセットが出たら買っちゃいますけれどね。
そして、最後は恒例の記念撮影です。
2015年の演奏に比べても、今回はドラムの自由度が上がって、自由自在に叩いている感じがしました。ジェレミー・ステイシーがキーボードに回って、ツインドラムになるシーンがあったのも印象的。ロバート・フリップのキーボードは70年代以来ですよね。キーボード3台で演奏するシーンも多かったです。
そして、インプロ風のところもあり、ロバート・フリップのギターも新いフレーズが入って進化しているのが感じられました。前回2015年の演奏は初期の頃のアルバムの再評価っぽい感じがしましたが、今回は80年代曲が増えてさらに進化した感じです。次は2021年に来日という話もあるようですが、ダブルトリオ期やヌーヴォメタル期の曲の再評価が入ると面白そうです。
King Crimson
December 21, 2018
Century Hall, Nagoya, Japan
Set 1
(1) The Hell Hounds of Krim
(2) Neurotica
(3) Circus
(4) One More Red Nightmare
(5) Red
(6) Cadence and Cascade
(7) Discipline
(8) Indiscipline
(9) Moonchild including Cadenza
(10) The Court of the Crimson King
(11) Islands
Set 2
(12) Devil Dogs Of Tessellation Row
(13) Lizard
(14) Epitaph
(15) Easy Money
(16) Radical Action I
(17) Meltdown
(18) Radical Action II
(19) Larks' Tongues in Aspic Part Five
(20) Starless
Encore
(21) 21st Century Schizoid Man