キング・クリムゾンのドキュメンタリー「 In The Court Of The Crimson King – King Crimson At 50」エクステンド版の Blu-ray 2 後半に「Rock in Rio」が収録されています。これは2019年のリオのライブです。
サウンドは 24bit/96KHz の 2ch ステレオとサラウンドが収録されています。普段オーディオシステムで聴く方が音そのものはいいので音楽を聴く時には 2ch を聴くのですけれど、このライブはサラウンドも価値があります。
まず、1曲目の「Drumzilla」が始まる前から、セット背景に文字が現れると「キング・クリム・ゾン」という観客の掛け声が大きく入りますけれど、サラウンドシステムで聞くとこの掛け声が周り中から聞こえてきて会場の雰囲気が味わえます。この曲も同じタイトルではあってもドラムのアレンジも毎年変わっているようで、2018年にみたライブとはだいぶ変わっています。このドラム演奏の途中でも湧き上がる歓声がすごいです。
切れ目なく、そのまま2曲目の「Neurotica」になりますけれど、やはりギターのフレーズやサックスが登場するたびに歓声が起こります。ロイヤルパッケージで、ロバート・フリップが「日本人は椅子に座って(下を向くポーズをしながら)静かに聴いているけれど、メキシコでは(片手片足を上げるポーズをしながら)盛り上がって踊りながら聴きます。私はどちらのスタイルもリスペクトします」って言っていましたけれど、やっぱり観客のノリの良さは演奏にも影響がある気がします。
曲が終わると、拍手と共にすかさず「キング・クリム・ゾン」の掛け声。そして次の曲の「Red」が始まるとまた大きな歓声に包まれます。この頃の演奏は2017年頃にきけた派手なドラムのアレンジが控えめなものに変わっていてオリジナルの演奏っぽくなっています。その一方で、中間あたりから入るピアノは新鮮な感じ。
曲間の「キング・クリム・ゾン」の掛け声に導かれて、その次は「クリムゾン・キングの宮殿」なのですけれど、曲が始まった途端に「あ〜ああ〜」とメロディーを観客が合唱するのにまたビックリ。サビの部分になると歌詞もみんなで歌います。サラウンドで聴くと歌声に囲まれる感じがすごいです。日本では聴けそうもないライブですけれど、こんなライブも楽しそうです。
おそらくイベントのライブでセットリストは短縮版らしく、次は「Indiscipline」です。トリプルドラムの見せ場でもある、今のクリムゾンを象徴する曲のひとつです。イントロからすごい緊張感のある演奏です。
その次は「Epitaph」です。「Starless」が省略されているセットなので、叙情パートはこの曲で代表というところでしょうか。トリプル・ドラムのクリムゾンになってから、アレンジはオリジナルに忠実に寄せている感じがありますよね。そして、サビの部分になると観客の合唱が入ります。
短縮セットリストなので「Starless」は省略して最後の曲「21世紀のスキゾイドマン」ですけれど、もうイントロの部分から「お〜おおお、おっお〜」と歌が入り、歌詞の部分までどんどん観客の合唱が入ります。そして間奏の部分になるとすごい歓声に包まれます。やっぱりこのノリはすごい。この間奏部分の構成も結構変わっています。原曲のイメージを損なわずに、新しい要素を入れてくる演奏力も素晴らしい。メル・コリンズがA列車のフレーズを弾き始めると、邪魔をするかのようにロバート・フリップのギターが歪んだフレーズを入れてくるのですけれど、やっぱり邪魔しているのかな。それからドラムソロですけれど、ギャヴィン・ハリスンの上手さとパワフルさが印象的です。反応する観客のノリも良いです。そして、メインのフレーズのパートになるとまた歌い、そして歌詞にあわせて合唱。ホント凄いです。
曲の後は大歓声、そして「キング・クリム・ゾン」という観客の掛け声と共に映像も終わります。
ステレオで聴いても観客の歓声はわかりますけれど、サラウンドで聴いて歓声に包まれるとずいぶん印象が変わると思います。