Twitterで見かけたので、山口哲一著『最新音楽業界の動向とカラクリがよくわかる本』を読んでみました。
- 『最新音楽業界の動向とカラクリがよくわかる本 』山口哲一、秀和システム、2022.8- Amazon から
日本の音楽産業が、かつては Apple の iTunes による音楽のデジタル化、その次はクラウド時代のストリーミング(いわゆるサブスク)に抵抗した結果、世界の潮流から乗り遅れて音楽不況に陥ったことが明瞭に説明されています。
海外の音楽市場は、CDといった物理メディアからデジタル化、ストリーミングへの流れに乗って、一時期の不況を乗り越えて盛況となっています。
CDやレコードは今やコレクターズアイテムで、ニッチ市場である現実を早く認めて音楽ビジネスの戦略を変えるべきですよね。
また、日本の音楽産業は海外進出に失敗した結果、日本のアーティストによる音楽が世界へ売れていない現状も説明されています。また、個人で音楽活動ができるようになった市場構造の変化にレコード会社や音楽事務所がついていけていない点も説明しています。
日本の産業は海外市場へ向けた適応能力をなくして不況に陥っていますが、音楽業界も例外ではなかったということですね。
その一方、最近の構造変化に対応した音楽ビジネスの成功例として YOASOBI が取り上げられているのが興味深いです。
また、2014年からCDよりも売上額の大きくなっているライブ市場が、2020年から始まったコロナ禍で大きく減速したデータも載っています。
なかなか興味深く読める本だと思いました。
私は Amazon Kindle で読んだのですが、Twitterで見かけて、その場ですぐ入手して、さっと読めるのはとても良かったと思います。これもITによる構造変化です。ついていけていない人もいるようですけれど。