『人類と気候の10万年史』中川毅

立命館大学の中川毅教授の著書『人類と気候の10万年史』を読みました。

『人類と気候の10万年史』中川毅、ブルーバックス

福井県の水月湖の湖底の地層を調べることで、7万年にわたる年代測定の世界標準を打ち立てた中川先生が、過去の気候がどのように変化してきたかをわかりやすく解説している本です。

最近騒がれていますが、地球温暖化とかCO2削減とかテレビや新聞で言われても、いまいちピンときませんでした。

なぜなら、高校の地学で、今よりも10度程度気温が低く世界中が氷で覆われ、海水面が今よりも20mも程度低かった「氷河期」や、今よりも10度程度気温が高く、南極や北極、山地などの氷や氷河がすべて溶けて海水面が20m程度高かった「間氷期」があったことを習ったからです。

このような、非常に大きな気候変動が過去にあったことを知っているのに、そうたいした変動でもない「温暖化」が騒がれる理由はわかりませんでした。また気候変動があるとしても、CO2削減程度のことで本当に効果があるのか、よくわかりませんでした。

また、CO2などより、気候変動の主因は地球に熱をもたらす熱源である太陽が原因であろうと漠然と思っていました。

この本で、その辺りの疑問はかなり解決した気がします。地軸が歳差運動をしているのも知っていましたが、それやさらにミランコビッチの唱えた長周期の地球の公転軌道の揺らぎが、気候にあんなに大きな影響を与えているとは思いもしませんでした。

「CO2削減」と大騒ぎされていますが、「CO2を削減しさえすれば気候変動を止められる」といった単純な話ではないこともよくわかる本だと思います。

iBooks から電子版を入手しました。紙の本のように不便なページ切り替えではなくて、巻物のようにスクロールに設定できるので読みやすいです。

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