西田宗千佳 『加速する日本の電子書籍 -Kindle、kobo上陸。2012年、日本になにが起きたのか』

西田宗千佳 『加速する日本の電子書籍 -Kindle、kobo上陸。2012年、日本になにが起きたのか (MAGon) [Kindle版]』を読んでみました。

西田宗千佳 『加速する日本の電子書籍 -Kindle、kobo上陸。2012年、日本になにが起きたのか (MAGon) [Kindle版]』Impress Watch (2013)

先日読んだ『電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ』の続きということになるでしょうか。タイトルにもあるように、西田さんのメールマガジンである MAGon から記事を抜粋したものです。

Kobo の社長のインタビューも興味深いですが、やはり最も読み応えがあったのは Kindle を担当する Amazon の友田氏のインタビューです。これを読むと、日本の出版関係者にもアタマの切り替えが必要であることがよくわかると思います。

Sony Reader はちょっと…

買ってソニーファンだったので It’s a … ブログもいつも読ませてもらっているのですが、Sony Reader の記事が載りました。

とにかく、使えるようになるまでの手続きが長いですね。マックユーザの私にはソニーリーダーは使用できないのですが、たとえ使えてもこれではやる気が出なさそう。いちいち本を探して転送するのも面倒ですし。

Kindle 2 を持っているのですが、3G 接続されているので Web の Amazon Kindle Store で、普通に紙の本やCDを買うのと同じ要領で電子本を買うと、1分くらいのあいだに自動的に転送されてきてすぐに読み始めることができます。転送にはKindle側で操作は全く必要ありません。この簡単でシンプルなところには感動します。

初期設定も、Kindle を初回起動したときに Amazon.com のユーザ名とパスワードを入れるだけで、他に何も手続きはありません。ごく簡単で迷わずに使えます。

iPhone、iPad や Android の Kindle アプリでも、「既に買った本のリスト」がデバイスに来ているので、そのリストからタップしてダウンロードを指示すると、Wifi や 3G 経由で本がやってきてすぐ読めます。

これを憶えてしまうと、ソニーリーダーの長くて煩雑な手続きにはとてもつきあえない気分。

電子書籍を探すのも、アマゾンで本を探すのと全く同じ要領で探しやすくなれていますし、紙の本のところにも Kindle エディションへのリンクがあるので、二度探す必要もありません。こういうところも気が利いています。

今日ソニーリーダーの実物を店頭で見てきました。世代の古いKindle2よりも表示は見やすいですね。でも、eInkは画面更新が遅くて一度反転するのが趣味に合いません。あと、外装はかなり安っぽいですね。このあたりは Kindle の方がうまく作ってあると思いました。ソニーリーダーにはKindleに感じたワクワクや感動が全くないです。

やはり、ソニーリーダーやガラパゴスには全く手が出ないですね。Kindle で日本語の書籍が販売される日が早く来ることを願っています。

大原ケイ著『ルポ 電子書籍大国アメリカ』を読んでみました

アスキー・メディアワークスから今年の9月に出た、大原ケイ著『ルポ 電子書籍大国アメリカ』を読んでみました。

『ルポ 電子書籍大国アメリカ』大原ケイ著

電子書籍というと、「日本の出版文化を守る」などという戯言ばかり読まされてうんざりしていたのですが、この大原ケイさんの本では異なります。ビジネスの視点から明快に電子書籍の位置づけを解説しています。単なるお話ではなくて、アメリカの実例を示しながら解説しているのでとてもわかりやすいです。

イマイチよくわかっていなかった、Google Books や、その前のブックスキャンの位置づけがよくわかりました。また、図書館が電子書籍で果たしている役割も理解できました。

あと、ビジネスを極めた結果、ちゃんと中小書店や読者のためになっているところが流石です。日本のように、守旧取次や印刷屋、シャープのXMDFのようなガラパゴスの生き残りを謀ったり、数年前に一度失敗したソニーリーダーの焼きなおしを押し付けられた結果、書店も読者も作家も不利益を被ることとなった日本の電子書籍プラットフォームとは大違いですね。

それに対して、日本ではわけもわからないくせに反対していた Google Books は、中小の書店の販売にも大きく貢献して、出版業界も読者も得をする良い関係を作っているのですね。こういうところも、システム構築が全くできない日本と対照的というのがよくわかりました。

電子書籍に関心を持っている人は必読の本です。日本のメディアの記事などを読んでいたのではわからない、電子書籍ビジネスの真の姿と可能性が見えてきますね。

京極夏彦 / ルー=ガルー を電子書籍版で読んでみました

京極夏彦著の2001年の作品「京極夏彦 / ルー=ガルー 忌避すべき狼」を読んでみました。

京極夏彦 / ルー=ガルー 忌避すべき狼</a

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これまで、タイトルを聴いたことはあっても、手に取って読んだことはなかったのですが、アニメ化の話を聞いていたのと、iPad / iPhone で読める電子書籍版が出たので、紙の本ではなくアプリの方を買って読んでみました。

表紙は紙の本と同じですね。読み始めたら面白くて時間も過ぎるのを忘れるくらい熱中して読み進めました。とはいえ、そんなにまとまった時間も取れないので、iPad で読んだり、すきま時間に iPhone で読んだりしていました。

2001年に書かれたとは思えないくらい、情報機器が普及した統制管理社会を舞台にして、情報機器に適応した独特のコミュニケーションをとる4人の少女を軸にした物語です。アクションや光景を思い浮かべると印象的なシーンも多々あり、アニメにしやすそうな話でもあります。

しかし、いかにもネットユーザーにウケそうなストーリーですけれど、それを狙ってこの作品を電子書籍にしたのでしょうね。

たいへん面白くよめた小説ではあるのですが、電子書籍アプリそのものには不満点が多々あります。

縦書き/横書きが指定できたり、文字の大きさを変えられるのは読みやすくていいですね。わたしは横書きにして読んでいました。

本は5部に分けてあって、1部が無料、2〜5部に課金となっているのですが、それぞれが独立した個別のアプリになっているのは読みにくいですね。別アプリになっているので、個々に縦書き/横書きや文字の大きさを指定する必要があり、煩雑なことこの上ありません。支払ったらまとまって一つのアプリになってもらいたいものです。

また、iPhone と iPad 両方で読めるのはいいのですが、読んでいる位置が同期しないので、持ち帰る度にどこを読んでいたのがページを繰って探す必要があり、たいへん不便でした。アマゾンの Kindle やアップルの iBooks は、当然のように手持ちの複数デバイスに本を入れられ、読んでいる位置も自動的に同期します。これより、スムーズにデバイスを持ち替えて続きを読めます。

このように優れたプラットフォームがあるのに、わざわざ劣るアプリやシステムを作って本を提供しようという講談社の姿勢は全く理解できません。つぎからは、ちゃんと Kindle や iBooks で書籍を提供してもらいたいものです。

アラン・ビーズ、バーバラ・ビーズ著『セックスしたがる男、愛を求める女』を読んでみました

なんだか扇情的なタイトルの本ですけれど、アラン・ビーズ、バーバラ・ビーズ著『セックスしたがる男、愛を求める女』を読んでみました。

無料で読めるので興味本位で読み始めたのですが、タイトルから受ける印象とは異なり、脳科学の知識や実験例を紹介しながら、セックスに対する男性と女性の感情や関心の違いを説明しています。

訳本なのがなるほどと思ったところが、プラクティカルなところです。後半は、男女の考え方の違いを織り込みつつ、衝動に流されるだけではなく理想の(長持ちする)パートナーを探すにはどうすれば良いか、という戦略を述べています。

以前、プレゼンテーション手法の本を読んだときにも、日本人著者の本は「とにかく上手になるように練習しろ」、などと精神論を説くばかりで役に立たないものが多いように感じました。それに対して、欧米人著者の訳本だと、プレゼンの厚生方法や発表練習の方法など、非常にプラクティカルかつ戦略的に書かれています。

この本も同様で、(どれくらい同意するかはともかく)パートナーを探すときに注意する点をプラクティカルかつ戦略的に述べているところが興味深いです。

7月11日までですけれど無料で読めることですし、iPadやiPhoneをお持ちの方は読んでみてもいいかもです。

普通に本を買うと1500円強ですね。

  • アラン・ビーズ、バーバラ・ビーズ著『セックスしたがる男、愛を求める女』アマゾンから
  • (2010.07.07 追記)
    私は iPad で読んだのですが、iPhone の同名アプリで開いてみてビックリ。iPad と同じ紙面イメージを iPhone の画面で表示するだけですね。これはiPhoneだと文字が小さすぎて読むに耐えません。さすがはヤッパ社のシステム、でたらめです。この程度のものを出しているようでは、主婦の友社も先がなさそう。こんなものを出すよりは、ePub形式のファイルをダウンロード販売するか、素直に Apple の iBook Store や Amazon の Kindle Store で販売するかを考えるべきでしょう。

    電子書籍プラットフォームに求めるものと、米国オライリー社のEbooks

    iPadを入手して以来、すっかり書籍やコミックは iPad で電子版を読むようになりました。

    しかし、そうなると気になるのが日本語書籍や雑誌の少なさです。絵が主体のコミックは自分で裁断スキャンしますからいいですけれど、書籍の方は気になりますね。

    電子書籍のプラットフォームが満たすべき条件には以下のものがあります。

    • 閲覧永続性を有すること – 購入した電子書籍は、いかなるデバイスでも永続的に読めることが保証されている必要があります。そうでなければ金を払って買う気がおきません。どのようなデバイスでも、デバイスを買い替えても、自分の所有する複数のデバイスで同時に読める必要があります。
      この点、日本の音楽業界が採用しているDRMは全く受け入れられません。単一のデバイスでしか再生できず、デバイスを買替えた場合のことが全く考慮されていません(同じものを再び売って金を取ろうと思っているのだと邪推できるくらいです)。このようなものにお金を費やす気にはなれませんね。日本の電子書籍プラットフォームも、まずここで失格のものが殆どです。
    • 紙の書籍以上の利便性を有すること – 縦書き/横書きや文字の大きさは読み手が好みにあわせてコントロールできなければなりません。また、本文の一部にマークをつけたり、付箋やメモの書き込みができて、それを書籍ごと、あるいは横断的に検索できる必要があります。これらの機能を持たないPDFファイルを提供しただけのモノを電子書籍と称するなど論外です。ページスクロールが滑らかだったり、次のページが瞬時に表示されることを始めとする優れた操作性は、ここにわざわざ記する必要も無いくらいの前提条件です。
      ところが、電通ヤッパのマガストアは、ページをくるだけで数秒待たされる、どうしようもない低品質のプラットフォームです。こんなものが存在することそのものが電子書籍にとって有害ですが、日本製品、なかでも雑誌はこの程度のアプリが多くを占めています。これらの評価は「不可」です。一方、話題になった「死ねばいいのに」をはじめとするボイジャー社のアプリは縦書き/横書きや文字の大きさが変更でき、スムーズにページが繰れるので、一応最低機能を満たしていて「」と評価できます。

    もっといろいろ条件があるような気がしていたのですが、挙げてみたらこの二つだけですね。まあ、所詮は書籍の話ですし、そんなややこしい条件はもともとなさそう。

    今のところ、この2条件を完全に満たしているものは無いようですが、最も近いのが iPad / iPhone に搭載されている iBooks です(厳密には、iOS4 に搭載される次バージョンの iBooks)。

    iBooks で読む本を入手する方法の一つは、アップル社の iBookStore なのですが、日本ではまだ有料の書籍は販売されていないのが残念。しかし、これ以外にも書籍を入手する方法はありそうです。下は私の iPad の iBooks の書棚の画像なのですが、これくらいの本が入ってます。サンプルとして提供されている Winne the Pooh だけではありません。

    主に英語の本なのですが、購入したのは米国オライリー社のEbooksです。ここで、CSSや、iPadの本、AndroidやiPhoneアプリの本を入手しました。Ebooksで販売されている本はDRMフリーで、iPad/iPhone で読める ePub に加えて、Kindle の Mobi、アンドロイドで読める APK、そしてパソコンで読めるPDFも提供されています。他形式はともかく、ePub と iBooks の組み合わせは文字の大きさも変更できますし、ページをくるのもスムーズで素晴らしいです。また、DRMフリーで、いつでも再ダウンロードできますから、閲覧永続性にも心配がありません。上に書いた条件を満たす最善の組み合わせです。これなら辛うじて「優」をつけてもいいのかも。

    日本のオライリー社はEbookと称してプロテクトのかかったPDFファイルを販売していますが、こんな程度のものを電子書籍と称するとは厚かましい。ちゃんと米国並みにePub形式でDRMフリーなファイルを提供するようにしてもらいたいものです。

    唯一日本語で入手したのが「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学 集中講義」の無料サンプル版です。これも、文字の大きさが変更できて、とても読みやすいです。縦書きにする機能はありませんが、私は縦書きは好まないのでこれで十分。このファイルは紙の書籍の販売促進の位置づけだろうと思うのですが、私は逆に紙の本を買う意欲を無くしました。今のクオリティで十分ですから、DRMフリーのePubファイルをダウンロード販売してもらいたいものです。すぐに買いますよ。

    日本の出版業界からも、上記の条件を満たすDRMフリーのePubファイルが多数入手可能になることを期待しています。それまでは、米国オライリーから英語の本を買って読むことにします。